SUMMARY
- 2015年9月に法改正がなされたe-文書法では、大幅な規制緩和が行われた
- 3万円以上の高額領収書や契約書のデジタル文書化が可能に
- e-文書法に対応する情報システムは、費用対効果で考えるとオープンソースが良い
2015年9月、これまで書面での原本保存が義務づけられていた領収書や契約書などの税務関係書類をスキャナによるデジタル文書で代替することを認める法律、e文書法(電子帳簿保存法)が、改正されました。今回の大幅な規制緩和により、企業における文書管理、文書保存の方法も大きく変わることが想定されています。
e-文書法の対象文書の半数が、帳簿や決算関係書類などの国税関係書類であり、ペーパーレス化が立ち遅れている日本では、仮に領収書をデジタル文書化できれば国内で3000億円、さらに紙文書を保管する書庫経費まで含めれば総計6000億円のコストが削減できると言われています。
大幅なコスト削減のためには、e文書法に基づき、領収書や契約書などを電子データ化し保存するための専用の情報システムの導入も必要となります。
今回は、新しくなったe-文書法の概要と、e-文書法に対応する適切な情報システムについて考察します。
大幅な規制緩和がなされたe-文書法
2005年に施行されたe-文書法(電子帳簿保存法)とは、文書の電子化を促進することで企業競争力を高めることを目的とした施策です。電子化された文書は、紙文書と比べて共有や検索、回覧などが容易なため、事務効率を大幅に向上できるというメリットがあります。
e-文書法では、法人税法や商法、証券取引法などで紙による原本保存が義務付けられている文書や証憑について、デジタル文書での保存を認めています。
つまり、これまで紙文書による保存が義務づけられていた文書を、「一定の要件」を満たせば電子化文書による保存方法でも良いと認めた法律が、e-文書法です。
2015年9月に法改正がなされたe-文書法では、従来の「一定の要件」から大幅な規制緩和が行われました。
e-文書法の改正で、高額の領収書や契約書のデジタル化が可能に
2015年9月のe-文書法の改正では、次のような規制緩和がなされました。
(1) 3万円以上の証憑の原本保存が不要
従来の「3万円以上の証憑は原本を保存しなければならない」という規制が撤廃されたため、日常的に増えていく領収書も、金額に関わらずデジタル文書化して管理できるようになりました。デジタル文書化後は、原本(紙文書)の破棄も認められています。
(2)デジタルデータへの電子証明書が不要
これまで必須だったデジタル化したデータに対する電子証明書の付与も、法改正後は不要になり、データ化した人が特定できるIDとパスワードでの代用が可能になります。
ただし、タイムスタンプは必要です。タイムスタンプは、「いつ」、「だれが」デジタル化したかを判別する文書の偽造を防ぐためのルールであり、証憑をe-文書法に則った形でデジタル化するには、デジタル文書にタイムスタンプを付加する必要があります。企業がタイムスタンプに対応するには、自社の情報システムにその仕組みを組み込む必要があります。
(3)スキャナーの仕様
紙文書をデジタル化するために使用するスキャナーに関しては依然として制約が残り、「原稿台付のスキャナーであること」、「カラー画像による読み取りであること」、「一定以上の解像度であること」が求められています。
つまり現状では、タブレットやスマートフォンのカメラで撮影した画像では、e-文書法の要件を満たすことはできません。
さらにスキャナー保存する際には次のような制約があり、文書の性質により細かな要件が異なります。
―見読性があること
・必要に応じて表示、書面作成できる
(ディスプレイでの閲覧やプリンタでの出力)
・内容が明瞭に確認できる適切な階調・解像度
―完全性があること
・滅失、毀損、改変、消去の抑止措置、それがあったときに確認できる
(タイムスタンプ、電子署名の採用)
―機密性があること
・不明アクセスの抑止措置
―検索性があること
・検索できるように体系化
(インデックスの付与などで検索、表示できる仕組みを整備)

e-文書法に対応する情報システムは、費用対効果で考えるとオープンソースが良い
欧米諸国に比べてペーパーレス化が立ち遅れている日本ですが、今回の規制緩和によって、より一層、文書のデジタル化、ペーパーレス化が進むと想定されています。
e-文書法の目的はペーパーレス化とコスト削減ですので、情報システムの導入にあたっては、あらかじめ、その費用対効果を考える必要があります。
そもそも文書管理をシステム化することと、現状のまま紙文書で保存管理するのとでは、どちらがコストパフォマンスに優れているのでしょうか?
事業規模にもよりますが、バージョンアップやライセンス費用、そして保守メンテナンスに高額な費用がかかる商用情報システムでは償却までに時間がかかりすぎ、実は、紙文書による保存のほうが廉価であるケースも少なくないのが実情です。
その点、オープンソースの文書管理システムであれば、バージョンアップやライセンス費用が不要で、圧倒的にコストパフォマンスに優れています。またオープンソースは、すでに企業に導入されている基幹システムとの連携も容易に実現します。
オープンソースの文書管理システムとしては、世界ナンバーワンのシェアを誇るAlfresco(アルフレスコ)があります。