SUMMARY
- 製品版Alfresco One(アルフレスコ・ワン)は、セキュリティリスクを排し企業での利用を前提にした手厚いサポートが受けられる
- コミュニティ版は、LGPLv3ライセンスの下で配布されている無償のアプリケーション
- 単純な文書管理ならコミュニティ版、大容量の動画を管理したり、知的財産を管理したり、機密性があるコンテンツを管理するならAlfresco One(アルフレスコ・ワン)
イギリスで開発されたオープンソースECM(エンタープライズコンテンツ管理システム)であるAlfresco(アルフレスコ)は、ワードやエクセルなどの業務文書を共同作業するためのプラットフォームとして、あるいはビジネスプロセスを自動化するためのワークフローとして、世界112カ国で利用されています。
まずは、Alfresco One(アルフレスコ・ワン)と呼ばれる製品版と、コミュニティ版の違いからご紹介しましょう。
エンタープライズ向け製品版Alfresco One(アルフレスコ・ワン)と、サポートレスだが研究開発用に無償で提供されるコミュニティ版
製品版であるアルフレスコ・ワンは、アルフレスコ社によって検証と修正を加え、企業での利用に耐えられる状態に構築されたアプリケーションです。 製品版は、年間使用料(サブスクリプション)を支払うことで、アプリケーションの利用だけでなくアルフレスコ社が提供するサポートを中心としたサービスを受けることができます。
一方、コミュニティ版は、LGPLv3ライセンスの下で配布されている無償のアプリケーションであり、有志により、定期的に新機能が開発されています。
製品版には管理機能、クラウドの同期機能、対応プラットフォームが提供されている
製品版であるアルフレスコ・ワン(有料)とコミュニティ版(無料)は機能にも違いがあります。製品版にのみ搭載されている機能は、次のとおりです。
―アルフレスコ クラウドとの同期
アルフレスコ・ワンではアルフレスコ クラウドとの同期機能を提供しています。
―管理機能
アルフレスコ・ワンでは管理機能を提供しています。
※各種設定をGUIから変更可能
―プラットフォーム
アルフレスコ・ワンは、DBでは、OracleやSQLServer に対応可能です。
また、APサーバでは、WebSphere やWeblogicにも対応しています。
製品版では、手厚いサポートとセキュリティパッチの提供を受けられる
製品版とコミュニティ版の最も大きな違いは、サポートとセキュリティパッチの提供の有無になります。
重大なセキュリティホールが発見された場合、 製品版ではAlfresco社からサポートが受けられるとともに、迅速なセキュリティパッチの提供が行われます。ちなみに2015年5月に発生した「クロスサイトスクリプティングの脆弱性」におけるアルフレスコ・ワンからのパッチの提供は、インシデント発生から約1ヶ月でした。
対してコミュニティ版では、問題を自身で調査し、対応せざるを得ない状況になります。場合によっては、対応そのものに大きなコストがかかってくるケースもあります。
リスクを有料で担保する製品版、小規模事業に小回りが効くコミュニティ版
製品版アルフレスコ・ワンとコミュニティ版の違いを、利用シーンから考えてみます。
製品版は企業での利用、コミュニティ版は個人での利用を想定されて提供されています。言い換えると、システム運用時に発生するセキュリティをはじめとしたリスクを有料で担保するのが、製品版アルフレスコ・ワンであると言えます。
単純な文書管理であればコミュニティ版でも対応可能ですが、大容量の動画などコンテンツの容量が大量にある場合や、コンテンツそのものが知的財産であったり機密性があったりする場合は、製品版が安定的な力を発揮することになります。
次に、事業規模から製品版とコミュニティ版を比較します。
有償版のアルフレスコ・ワンには、登録するユーザの数が300人以下のユーザモデルと、1000人以下のユーザモデルが用意されていますので、それぞれ事業規模に応じてお選びいただくことができます。
一方10人規模の事業規模では、コミュニティ版を採用しているケースも少なくありません。
コミュニティ版における最大の問題は、サポートやトレーニングといったサービスが受けられないことです。コミュニティ版であってもアルフレスコ社が提供しているトレーニングはありますが、そのほとんどが日本語化がなされていないため、実用的ではありません。
もし事業でコミュニティ版を導入する場合は、独自にAlfresco専任エンジニアを配置させるなど、運用時に製品版と同等レベルのコストを費やす可能性があります。
ヴィセントでは、定期的に初心者向けのアルフレスコのワークショップを行っていますので、まずはセミナーに参加していただくという方法もあります。